キッチンカーの図面を書く前に!改正のHACCPとおすすめのキッチンカー
さまざまな場所へ出向いて営業ができるキッチンカー。自分でキッチンカーを製作しようと考えていても、ベースとなる車を何にするべきか、キッチンカーの寸法はどのくらいにするべきなのか悩む方が少なくありません。
そこでこの記事では、おすすめのキッチンカーや、寸法に関する注意点についてご紹介します。加えて、飲食店を営業するうえで確認しておかなければならない、2021年6月から義務化された「HACCP」についても解説するので参考にしてみてください。
目次
2021年6月から義務になる「HACCP」とは?
「HACCP(ハサップ)」とは虫の混入や食中毒などの危険要因を把握し、原材料の入荷から出荷までの全工程において危険要因を減らすために行う衛生管理の国際的な基準のことです。2021年6月から原則としてすべての食品等事業者を対象として義務化されました。
Hazard Analysis and Critical Control Pointの略で、Hazard(危害)・Analysis(分析)・Critical(重要)・Control(管理)・Point(点)の頭文字から名付けられています。大規模事業者やと畜場などはHACCPに基づく衛生管理が求められ、小規模な営業者等ではHACCPの考え方を取り入れた衛生管理が求められます。キッチンカーは小規模な営業者等に当てはまります。
キッチンカーで求められる衛生管理は、衛生管理計画の作成・計画の実践・記録です。衛生管理計画では、店舗内を清潔に保ったり食品を安全に取り扱ったりするために必要な衛生管理を計画します。それから計画を実践し、その内容を記録します。これらの工程は実践して終わりではなく、計画や記録を定期的に確認し、必要があれば計画を見直すことも大切です。
改正によるキッチンカーの製作の注意点
これまでキッチンカーの設備基準は都道府県によってさまざまでしたが、改正により全国統一となりました。都道府県のなかには設備基準を普通自動車と軽自動車で分けていたところがあるものの、使用する自動車の種類による基準の違いもなくなります。
キッチンカーを製作する際、特に注意しなければならないのが給排水のタンク容量についてです。改正後のタンク容量は40リットル程度・80リットル程度・200リットル程度の3種類となり、容量によって可能な提供品目数や調理工程が異なるからです。
例えば、タンク容量が40リットル程度の場合、提供できるのは単一品目で食器の使用や車内での仕込みが行えません。調理工程も温めたり盛り付けたりする簡単な料理のみ可能です。80リットル程度の場合は、2工程までの調理が可能になり、複数品目の提供ができます。そしてタンク容量が200リットル程度になると、複数品目の提供や食器の使用、車内での仕込み、複数の調理工程が可能になります。
なお、東京都ではシンクの幅は45cm×奥行36cm×深さ18cm以上という改正前の推奨基準を残しています。このように独自の推奨設備基準を残す都道府県もあるため、キッチンカーの図面を作成する前に確認しておきましょう。
キッチンカー製作なら軽トラックがおすすめ
キッチンカーには普通車バンや軽バン、トラックなどがあります。それぞれにメリットがありますが、なかでも運転資金を抑えつつキッチンカーの製作ができる軽トラックがおすすめです。ここからは、キッチンカー製作に軽トラックをおすすめする理由をひとつずつ解説していきます。
多種のメニューに対応
軽トラックは一見狭いイメージがあるかもしれませんが、荷台部分をキッチンとするため、ある程度のスペースができます。調理器具や設備を工夫して配置し、簡単に調理ができるメニューであれば、多種のメニューに対応可能です。簡単に調理ができるメニューには、焼き鳥や唐揚げ、コーヒー、ドーナツ、クレープなどがあります。
スペースがあるのでタンク容量を80リットル程度のサイズにして、何種類かを併せて販売しても良いかもしれません。種類やおかずの内容次第ではお弁当にも対応できます。多種のメニューに対応する軽トラックなら、希望するメニューを提供できる可能性が高まります。
キッチンに立ちながら調理販売が可能
バンタイプのキッチンカーは基本的に座って作業をしなければなりませんが、軽トラックのキッチンカーなら高さもあるため、キッチンに立ちながら調理が可能です。立ったまま作業ができると動きやすいだけでなく、長時間作業を続けなければならない場合も体に負担がかかりにくくなります。
立ったまま作業ができると移動も楽なので、立て続けに注文が入っても効率良く作業ができます。折り畳み式の椅子を準備しておけば、忙しい時間帯は立ちっぱなしで作業をし、落ち着いている時間帯は座って待機することもできるでしょう。
キッチンに2名が入る
軽トラックのキッチンカーは、大人2名が同時に入り調理ができるため、夫婦でキッチンカーを始めようと考えている方にもおすすめです。夫婦に限らずイベント出店をするときや忙しい時期のみアルバイトを雇い、それ以外は1人で営業する方法もあります。
イベント出店は売上アップを狙えるチャンスです。2人同時にキッチンに入ることでより早く、より多くのお客様にメニューを提供できるでしょう。必要なときのみアルバイトを雇えば、人件費も必要最小限に抑えられます。
維持費やメンテナンス費が安い
軽トラックのキッチンカーは維持費やメンテナンス費が安いことも特徴です。車両を維持するための必要経費の目安を確認してみましょう。
・自動車税…4,000円
・重量税…8,200円
・車検費用…およそ60,000円
・自賠責保険…26,370円
※重量税・車検・自賠責保険は2年に1度です。
・任意保険…およそ50,000円(年齢や保険の内容によって変わります)
・ガソリン代…およそ60,000円(ガソリン1Lあたり130円で燃費は22km/L、年間に1万km走行した場合)
上記の費用で計算すると、維持費は年間でおよそ20万円程度となります。近場でのみ出店するのであれば、ガソリン代はさらに安くなります。
軽トラックは燃費が良く、高速代も普通自動車と比べて割安なので、遠方のイベントにも出店しやすいでしょう。
ちなみに、キッチンカーを出店できるスペースのなかには、敷地の狭さから「軽自動車のみ出店可能」としているところがあります。軽トラックならこのような条件付きの場所でも出店できるため、出店できるチャンスが多くなります。
キッチンカーの図面を書くときの寸法、大きさは?
軽トラックのキッチンカーの図面を書く際は、キッチンカーの寸法に注意します。自動車として公道を走行するため、大きさに制限があります。軽自動車の制限は以下の通りです。
・高さ…2.0m以下
・全長…3.4m以下
・重さ…350kg以下
とはいえ、これは一般的な軽自動車の制限です。キッチン部分は工具を使わずに着脱できる仕様にして積載物として扱い、天井部分を着脱式にすることもあります。その場合、積載物を含めると、高さは地上から2.5m以内、全長は軽トラックの全長+10%以内までとなります。どちらの場合も横幅は1.48m以下でなければいけません。
この寸法を守れば、販売口の高さや幅の寸法は自由です。販売口を横開きの窓にして手軽に準備や後片づけができるようにしたり、収納式のカウンターを設置してディスプレイを楽しんだりもできます。リアを販売口にすることも可能です。
キッチンへの出入口を設置する場所も制限はなく、リアでも側面でも設置できます。シンクや調理設備、収納などキッチン内の使いやすさを考慮しながら位置を決めましょう。
キッチンカーの図面を書く前に確認しよう
キッチンカーを営業する際は、HACCPの基準に沿った営業ができるキッチンを意識しなければいけません。図面を書く前にHACCPの内容をしっかり確認しておきましょう。自分でキッチンカーを製作するのであれば、スペースが確保できるうえに改造費などを抑えられる軽トラックがおすすめです。1人ではもちろん、2人で同時に調理ができるので、繁忙期やイベント出店でも効率良く営業できるはずです。
ただし、キッチンカーを製作する際は、法律や運転資金についても意識しなければいけません。法律をはじめ資金や使い勝手の良さまで考慮しながらキッチンカーを製作するのは大変という場合は、ティアラがおすすめです。
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