移動販売車の許可とは?その申請方法と手順を解説

近年注目されているキッチンカーで移動販売をするためには「移動販売車の営業許可」が必要です。営業許可は移動販売をするエリアの保健所に申請して取得します。移動販売車では『飲食店営業(自動車)』という業種に該当します。申請に必要な書類や手続きの方法も事前に押さえておくことをおすすめします。

この記事では、移動販売車の営業許可を取得するための条件を詳しく解説していきます。申請に必要な書類や申請方法、申請の手順についても詳しく紹介しますので、開業を検討している方はぜひ参考にしてください。

移動販売車での開業には許可が必要

移動販売車での開業には、移動販売を行う地域を所轄する保健所の営業許可を取得することが必要になります。自分が住んでいる地域を所轄する保健所ではなく、キッチンカーで移動販売を行う場所の保健所へ申請しなければなりません。保健所は都道府県ごとではなく、自治体ごとに設けられています。そのため、エリアによっては移動販売を行う場所ごとに、それぞれの地域を所轄する保健所の営業許可が必要になることに注意が必要です。

保健所によって営業許可取得の費用は異なりますが、複数の場所で販売する場合は、それぞれの営業許可が必要なので、場所の数に比例して費用も多く発生します。移動販売車での開業を検討する際には、販売エリアを広げ過ぎないよう場所を絞っておくほうが経費を抑えられるでしょう。

飲食店営業の許可申請と営業届出

移動販売車の営業許可は『飲食店営業(自動車)』に該当します。営業許可の有効期間は5年間で、5年ごとに更新料を支払います。

また、包装された食品を販売する場合は、弁当などの場合は食品販売業、肉は食肉販売業、乳飲料などは乳類販売業、魚介類は魚介類販売業に分類され、許可申請は不要ですが営業届出が必要になります

営業許可で必要な8つの条件とは

移動販売車の営業許可を取得するため主に8つの条件があります。

① 移動販売車の運転席と調理場は、衛生管理上の観点から仕切られていることが必要です。キッチンボックスを搭載している車種では問題ありませんが、改造などが必要になるケースもあります。
② 給水・排水タンクの設置。タンク容量によって調理工程などに制限があります。
③ 手洗い専用シンクと洗浄用シンクの設置。手洗い専用シンクの蛇口は自動式やレバー式などで手を洗浄後の再汚染が防止できるものであること。
④ 換気扇の設置
⑤ 小さな虫などが入らないように網戸の設置
⑥ 食品を保存するためには、常時電源を入れておける冷蔵・冷凍庫、発電設備も必要です。
⑦ 汚れや臭いが漏れないようなフタ付きのゴミ箱
⑧ 容器など衛生的に保管できるような収納ケースまたは棚があるか。

食品衛生責任者はマストな資格

キッチンカーで移動販売を行うには、全国共通の資格である「食品衛生責任者」の取得が必要です。食品衛生責任者は、食中毒などが発生しないよう食品衛生法に則り食品衛生に関する管理運営を行わなければなりません。食品を取り扱う施設には、1つの施設に1名以上の食品管理責任者を配置するよう義務づけられています。

ただし、すでに栄養士や調理師の資格を持っている場合は、食品衛生責任者の資格を改めて取る必要はありません。製菓衛生師や、と畜場法に規定する衛生管理責任者などの資格がある場合も同じです。

食品衛生責任者は、保健所が実施する約6時間の講習会を受講すれば取得できます。必要な受験資格はなく誰でも受講でき、受講費用は1万円程度です。定員があるため、早めに申し込みをすると良いでしょう。

営業許可取得に必要な書類

営業許可を取得するためには、保健所へ提出しなければならない書類が複数あります。書類の種類は保健所によって形式が異なるため、移動販売をする場所の保健所に確認しておきましょう。

ここでは、東京都の場合を例に紹介しますので参考にしてください。まず、飲食店を開業するための「営業許可申請書」に必要事項を記載します。個人と法人では住所氏名の欄に記載する内容が異なる、複数の業種を行う場合にはすべて記載するなどには注意が必要です。

ほかには、営業設備の大要や配置図、仕込み場所の営業許可証の写し、営業の大要を記載した書類を提出します。また、食品衛生責任者であることを証明する手帳または修了書、車検証のコピー、仕込み場所の水質検査証明書、検便検査成績書も必要です。営業許可取得には手数料が発生するので、必要な額も持参しましょう。

営業許可取得までの手続きの流れ

ここでは、営業許可を取得するまでの手続きについて主な流れを紹介していきます。手続きをするうえで押さえておきたいポイントについても解説します。移動販売車での開業をスムーズにするために、ぜひ参考にしてください。

まずは保健所に相談に行く

キッチンカーで移動販売を始めると決めたら、はじめにすることは保健所への相談です。開業する意思を伝えて今後についての相談をしておくと、次のステップへ進みやすくなります。相談回数は1回だけでなく、何回か行われるのが一般的です。保健所の担当者のアドバイスをよく聞いておくと開業準備に役立ちます。相談をする前に、メニューや販売する場所を明確に決めておくのがポイントです。申請書についても事前に調べておくと良いでしょう。

申請書類提出

保健所に相談して開業に関する疑問点などを解消した後は、渡された申請書に必要事項を記入します。申請書類は所轄の保健所によって形式が異なるため、分からない点は保健所の担当者に質問しましょう。すべて記載してから不備を指摘されるよりも、最初によく確認してから正確に記入することが大切です。申請には食品衛生責任者の証明書の提出も必要ですが、これは地域によって発行される形式が手帳または修了書となっているのでどちらでもかまいません。

移動販売車の施設検査の日程確認

保健所への相談や申請書類を提出した後は、申請した条件に適合するようキッチンカーを製作します。キッチンカーの製作や購入は、保健所への相談前にすると条件に合わないなどのリスクがあるので注意が必要です。キッチンカーを準備したら、保健所で施設検査を受けることになります。急に持って行っても施設検査はできませんので、保健所の担当者に施設検査の日程を相談します。キッチンカーの用意が整っていない場合は、スケジュールが遅れてしまうので計画的に進めることが大切です。

保健所にて施設検査の実施

保健所にキッチンカーを持ち込んで施設検査を受けます。移動販売の営業許可取得に必要な条件は整っているか、保健所の職員が確認する最終段階です。保健所の指示に従っていれば営業許可は取得できます。施設基準に適合していることが確認できれば、保健所から営業許可書の交付予定日が交付されます。ただし、何か不備があった場合は不合格になるので、修正後に再度施設検査を受けなければなりません。キッチンカーは保健所の条件に合うように製作するのがポイントです。

許可書の受け取り

営業許可書交付予定日になれば、交付された通知を持参して保健所へ出向き営業許可書を受け取ります。交付された営業許可書は営業中にはキッチンカーの中に提示し、営業許可済の標識も良く見える位置に取り付けなければなりません。営業開始後に施設を変更した場合には、その都度保健所に届け出ることが必要です。

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