キッチンカー・移動販売車 加入しておきたい保険
キッチンカー・移動販売車の事業者は、どのような保険に加入しておくといいのでしょうか。
キッチンカー・移動販売車で食品を扱うということは、少なからずリスクがつきまといます。屋外で車を使うということで、衛生面ではむしろ固定店舗よりもリスクはかなり高いといえます。また、車での移動が多いので自動車事故のリスクもあるでしょう。
ここでは、キッチンカー・移動販売車の事業者が加入しておきたい保険をいくつかご紹介いたします。
生産物賠償責任保険
キッチンカー・移動販売車の営業で食品をお客様に提供する際に、食中毒やノロウイルスなどの感染、異物や虫の混入など最大の注意を払っていても、万が一のトラブルを起こしてしまう可能性は全くないとは言い切れません。
そのようなトラブルに備えて、おすすめしているのが『生産物賠償責任保険』(以下PL保険と表記)です。
例えば、
- ・キッチンカー・移動販売車で提供した商品で、お客様が食中毒になってしまった。
- ・商品を手渡す際に、お客様にやけどを負わせてしまった。
- ・提供した商品の容器が原因で、お客様に怪我を負わせてしまった。
など、自身が製造した・販売した商品でお客様に損害を与えてしまったことに対しての補償をするための保険が『PL保険』です。また、このPL保険に加入していることが出店条件のイベントや営業場所がありますので、キッチンカー・移動販売車で営業する場合は加入することをおすすめいたします。
PL保険が補償する内容や条件、料金などは各保険会社によって様々な種類があります。また商工会議所の会員の方向けの保険もありますので、比較してみるのもいいでしょう。
- 日本商工会議所
- https://hoken.jcci.or.jp/
施設賠償責任保険
キッチンカー・移動販売車の営業で加入しておいた方が安心の保険をもう一つご紹介いたします。
『施設賠償責任保険』というものです。
例えば、
- ・キッチンカーの突き出した窓や扉が、風で突然閉まったり、開いたりして、お客様に怪我を負わせてしまった。
- ・看板が落ちてきて、お客様に怪我をさせてしまった。
- ・フライヤーの油をこぼして、出店先の床にシミをつけてしまった。
など、自動車事故でもなく、商品で損害を与えてしまったものでもない場合のトラブルに備えたものです。
原因によって、生産物賠償責任保険が適用されるものと、施設賠償責任保険が適用されるものとに分かれるので、両方加入しておくことをおすすめします。保険会社によっては、両方をセットにしたものや、セット割などが用意されている場合もありますので、検討してみるといいでしょう。
自動車保険
自動車保険は、一般の自動車もほとんど加入している交通事故等が発生してしまった時の被害者への賠償や車の修理費用などに使用する保険です。
キッチンカー・移動販売車の多くは、車体の加工やカスタマイズされているため『特殊用途自動車』として登録する必要があります。「8ナンバー」というものです。このため、8ナンバーに対応している保険に加入することになります。
一部、「1ナンバー」や「4ナンバー」の『貨物車』として登録している場合は、普通の自動車保険に加入ができますが、使用用途が『業務用』に該当するため保険料が高くなる場合があります。
また車両保険をつけると保険料は高くはなりますが、車両保険が補償されるものは車内の装備品すべてが補償の対象です。しかし、ナットやボルトで車両に固定されたものであることが前提のため、積んであるだけの調理機器やロープ等で縛っているだけのものは対象にならない可能性がありますので、確認が必要です。
自動車保険についても、保険会社によって様々な種類の保険がありますので、ご自身にあった保険を比較検討してみるといいでしょう。
その他
キッチンカー・移動販売車の事業者の多くは、個人事業主として営業されているでしょう。個人事業主である場合、もし廃業することになった時に会社員のような退職金がありません。ここでは、個人事業主のための積み立て型共済制度をご紹介いたします。
小規模企業共済制度
国の機関である「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」が運営している積み立て型の退職金制度です。
掛け金は、1,000~70,000円/月(500円単位)で、増額減額が可能なので状況によって変更ができます。
- メリット:
- 退職金を一括・分割どちらでも選択できる。
- 掛け金は全額所得控除となり、節税対策にもなる。
- 合計掛け金の範囲内で、低金利の貸付制度の利用が可能。
- デメリット:
- 20年積み立てていれば、掛け金の100%給付されるが、20年未満で解約した場合は掛け金を下回る。
- 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
- https://www.smrj.go.jp/kyosai/index.html
個人型確定拠出年金『iDeCo(イデコ)』
確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度です。
- メリット:
- 掛け金所得控除となり節税対策にもなる。
- 売却益、配当金、利息が非課税となる。など
- デメリット:
- 60歳にならないと年金資産を受給できない。
- 給付額は成績により変動する。など
- iDeCo(イデコ)公式サイト
- https://www.ideco-koushiki.jp/guide/
国民年金基金制度
国民年金法の規定に基づく公的な年金制度です。国民年金とセットで加入でき、自営業の方やフリーランスの方など国民年金第1号被保険者の老後の所得保障を担う制度です。
- メリット:
- 少ない掛け金で、掛け金は所得控除となり節税対策にもなる
- デメリット:
- 65歳になるまで受給できない。
- 国民年金基金
- https://www.npfa.or.jp/system/about.html
まとめ
キッチンカー・移動販売車の営業において加入しておきたい保険をいくつかご紹介いたしましたが、このようなリスクについてすべて対処していくことは、難しいことかもしれません。
しかし保険に加入しておくことは、もし万が一トラブルがおきてしまった時に損害を与えてしまったお客様へ万全の対応ができるようにするためでもあり、事業者の甚大な経済的負担を少しでも低減するためでもあります。
お客様のために、また事業者ご自身のためにも保険に加入しておくと安心でしょう。