キッチンカー・移動販売車で必要な設備

キッチンカー・移動販売車の営業許可証を取得するために必要な設備はどんなものがあるのでしょう。

令和3年６月、食品衛生法が改正されました。今まで施設基準は保健所ごとに異なっていましたが、今回の改正により厚生労働省令で定める施設基準を参考にして決めることになりました。そのため基本的には全国一律になります。

こちらでは、キッチンカー・移動販売車で必要な設備について解説いたします。

1 シンク
2 給水タンク・排水タンク
3 照明設備
4 換気扇
5 備品用収納スペース
6 冷蔵設備
7 ふた付廃棄物容器
8 電源装置
9 まとめ

シンク

キッチンカー・移動販売車では、手洗い専用と調理道具などの洗浄用を分けて2つのシンクの設置が必要です。材質はステンレス製のものが多いでしょう。カフェ店などでよく見かける丸型のシンクは、おしゃれですが実用的ではありません。四角いシンクでふたをつけて、作業台として併用できた方が実用的です。

そしてそれぞれのシンクに1つずつ蛇口を設置しなければいけません。なお手洗い専用シンクの蛇口のハンドル部分は、手を洗浄後、再度触ることのないような自動式やレバー式、足踏み式などの非接触型が必要になります。

また、シンク近くには手洗い用の石鹸、手指用消毒液やアルコールスプレーなどの設置も必要です。

給水タンク・排水タンク

キッチンカー・移動販売車では、手を洗ったり調理道具などを洗うための水を溜める「給水タンク」と、使った汚水を溜める「排水タンク」の2つのタンクの設置が必要です。タンクの大きさは、２つとも同量のもので、扱う品目数や調理工程によって異なります。

タンクの容量は、以下の通りになります。

４０ℓ程度	・簡易な調理のみ(温める、揚げる、盛り付けるなど) ・単一品目のみ取り扱うこと	使い捨て食器
８０ℓ程度	・大量の水を要しない調理・２工程までの簡易な調理・複数品目の取り扱い	使い捨て食器
２００ℓ程度	・大量の水を要する調理・複数の工程からなる調理・仕込みを行	通常の食器も可能

給水タンク・排水タンクは、営業終了後のたびに中の水を廃棄処理して清潔に保つようにします。排水タンクの廃棄処理は大変なので、調理道具などの洗浄は仕込み場所で行うといいでしょう。

そして、営業前に仕込み場所で給水タンクに水を溜めてから営業を始めます。

照明設備

キッチンカー・移動販売車の車内が十分な明るさになる照明設備が必要になります。50ルクス以上といった数値で基準を設けている保健所もあります。

キッチンカー・移動販売車での照明設備は、ただ明るければいいというわけではありません。照明機器でキッチンカー・移動販売車の雰囲気をつくることができます。

例えば、照明の色で違った雰囲気がつくれます。昼白色では明るい活気のある雰囲気や、電球色では落ち着いたゆったりした雰囲気がつくれます。また、スポットライトや間接照明を取り入れるとおしゃれなカフェ店の雰囲気がつくれます。

照明器具を上手に利用すれば、メニューにあったお店の雰囲気を工夫して演出することができます。

換気扇

キッチンカー・移動販売車の車内の換気が十分にできるように、換気扇が設置されており窓が開く構造になっている必要があります。

換気ができるということは、穴が開いていることになります。そこから虫やほこりなどが入る恐れがあるので、窓には網戸や換気扇にはカバーなどをして防ぎましょう。

備品用収納スペース

キッチンカー・移動販売車で使うさまざまな調理道具や、商品を入れるトレーや袋などの包装品を安全に清潔に保管するための収納棚や収納ボックスの設置が必要です。車内という限られた空間の中での調理や作業になりますので、きちんと整理整頓されたところで効率よく作業をするためにも収納スペースは必要です。

冷蔵設備

キッチンカー・移動販売車で取り扱う商品によっては冷蔵保存をすることがあるでしょう。その場合、発電機などによる冷蔵設備が必要になります。特に夏場は食材の腐敗を防ぐために冷蔵設備はなくてはならないものです。また保健所によっては走行中も、冷蔵機能が使えるようにしなければならない条件がある場合もあります。

冷蔵庫の上は作業台として活用できる種類もありますので、限られたスペースの中で有効的に使える種類を選ぶといいでしょう。

ふた付廃棄物容器

キッチンカー・移動販売車の車内には、ふた付で臭いや水分が漏れない廃棄物容器(ゴミ箱)の設置が必要です。掃除がしやすく耐水性のものがいいでしょう。ふた付でないと、悪臭やコバエなどの虫の侵入にもつながりますので、お客様を不快にしないためにも、ごみ箱はふた付のものを設置しましょう。

電源装置

キッチンカー・移動販売車での営業のために必要な電力が供給できるように、発電機等の電源装置が必要です。

多くの保健所が「走行中も冷蔵設備を稼働させること」「汲み上げ式の電動ポンプの水道設備であること」ということを営業許可の規定条件にしています。そのため、発電機等の電源装置を設けていればその条件をクリアできると判断されます。

そして、発電機等の電源装置を所有していれば、電源確保の心配もなくなるので、イベントへの出店も可能になり営業する機会が増えるでしょう。

まとめ

キッチンカー・移動販売車の営業許可証を取得するために必要最小限の設備についてご紹介させていただきました。

キッチンカー・移動販売車は、出店場所の地域を管轄している保健所から営業許可を取得しなければ営業することはできません。複数地域で出店する場合は、それぞれで必要になります。

営業許可の申請をする際には、必ず各自治体の保健所へ相談しましょう。